2016年1月31日日曜日

「持てる若者」と「持たざる若者」の格差は、一生かけても埋まらない

持てる者.jpg

最近、ますます日本の格差の根深さを感じてしまいます。
『他の国の格差はもっと酷い。日本は未だ平等』という意見はもっともです。
しかし日本の『持てる者』と『持たざる者』の格差も相当大きいと思います。
経済学は私の専門外ですが、資本主義社会では歴史的にも全世界的にも「r>g」により格差は広がる仕組みになっています。そのことを、我々の身近にいそうな日本の二人の若者を例に、彼らの人生をシミュレーションをしてみたいと思います。

二人の若者の人生

①持たざる若者 裕福でない家庭。地方で育ち、上京して働き、家族を持った若者
②持てる若者  一般的な東京の家庭で育ち、東京で働き、家族を持った若者
 この二人の能力・努力・運は全く同じとします。

大学を卒業する為に288万円の負債を背負う「持たざる若者」

持たざる若者は、大学費用を奨学金でまかないますが、その返済額は総額288万円にも上ります。
※マイナビスチューデント『4割以上の人が活用した奨学金、返済額は平均288万、完済までは約16年』

奨学金に関する世論は『無計画に借りる学生にも問題がある』『そもそも全員が大学に行くべきなのか?』というものもあります。しかし私は、未だに学歴至上主義が蔓延る日本社会で、借金をしてでも大卒になっておきたいと思う若者の心理は妥当なものと思います。
ただその代償は非常に大きく、持たざる若者は288万円の負債を背負って社会に放り出されるのです。
一方、持てる若者は、自宅から普通に大学に通い、卒業して社会に出るのです。

この格差は、持たざる若者達の努力が足りないからとか、認識が甘いとかいう話では当然ありません。持たざる者として生まれた以上、一個人の努力で改善出来るような性格のものではないのです。

「持てる若者」は人生を謳歌し、「持たざる若者」は一生働く人生

次に持てる者・持たざる者の2人の若者の貯蓄格差を見てみたいと思います。

①持たざる若者 
若者は10年かけて奨学金を返済し終わり、家族が出来た為、33歳の頃、東京で3,000万円の家を購入します。その為、銀行から3,000万円を25年住宅ローンで借ります。年間返済額は147.6万円(月12.3万円)。
この場合、25年間で総額3,672万円の支払い、つまり利息は672万円も支払うことになります。
※フラット35HP「ローンシミュレーション」にて金利1.67%で算出

親の援助がない若者は3,000万円の持ち家を得る為に「3,672万円」も支払わなければならないのです。

②持てる若者
元々東京に住んでいて、そのまま東京で就職・家族を持った「持てる若者」は親から家を貰えることになりました。(親と同居、親の死後に相続を想定)
「持てる若者」は「持たざる若者」が奨学金を毎年返済している間、同額(28.8万円)を10年間、金利1.67%で運用して貯蓄し、総額320万円を貯蓄出来ました。加えて持ち家にお金を払う必要がないので、その分も貯蓄します。上のローンと同じ条件で25年間、毎年147.6万円を金利1.67%で運用して貯蓄し、総額4,610万円の貯蓄が出来ました。総額で4,930万円を貯金しています。

持たざる若者が35年間で奨学金「288万円」と住宅ローン「3,672万円」を返済している内に、持てる若者は「4,930万円」も貯蓄したのです。

二人の格差は広がる一方!定年時の金融資産は3倍の差に

①持たざる若者 金融資産3,030万円
持たざる若者は、奨学金と住宅ローンの「計3,960万円の借金」を完済し、60歳近くになってようやく本格的な貯蓄を開始しました。毎年200万円ずつ貯蓄し、年利1.67%で運用します。
65歳の退職時点で退職金2,000万円含めて「金融資産は3,030万円」
今後の年金制度も不透明な時代、持たざる若者の貯蓄は十分ではなく、65歳以降も働かざるを得ないのです。一生かもしれません。

②持てる若者 金融資産8,500万円
一方、持てる若者は60歳時点で既に「金融資産4,930万円」を所有しており、その後も複利運用で雪だるま式に貯蓄額が増えていきます。退職時点では、退職金2,000万円含めて「金融資産は8,500万円」。持たざる若者の3倍です
『持てる若者』は既に準富裕層に入っていた為、資産は複利運用で増え続けるのです。

二人の格差は老後も広がる一方で「持たざる若者」は「持てる若者」に一生追い付くことはありません。
二人は同じ能力で同じ努力をし、幸運の量も一緒にも関わらず、持たざる若者は一生かけて働き続け、持てる者は余生を謳歌するのです。


この格差は現実。受け入れるしかない。しかし・・・

この格差は、多くの人が実際に感じているものだと思います。
私に、この残酷な格差を改善する力は持っていません。非力です。
しかし、少しでも抗うことは出来るかもしれません。持たざる若者達をサポートする活動です。
私が出来る範囲で、持たざる若者達に、教育を、知恵を出来る限り早い段階で伝えたいと思います。




0 件のコメント:

コメントを投稿

日本も米国も株価が好調という要素はあるものの、4カ月で500万円の貯蓄が実現。 しかも臨時出費のリフォーム200万円を差し引いて、500万円も貯蓄できました。 今が最も子供達3人の教育費がかかる時期ですが、次々と卒業していく来年からはもっと貯蓄スピードが上がることになります。 本...